本来であればこのようなことを書きたくないですが、由々しきに事態になりつつある現状なので書かせていただきます。
大変ありがたいことに、赤岳鉱泉では山小屋の夕食でステーキが食べられることが名物になっています。
赤岳鉱泉では、コロナ禍以前より宿泊とテント泊で夕食を食べられるお客様が増えています。
そして、ありがたい事実とは裏腹にステーキの人気が加速しているからこその弊害が発生していることも現状です。
赤岳鉱泉・行者小屋の公式ウェブサイトに記載しているように、
※夕食と朝食の献立は食材の仕入れ状況と在庫状況によって変動します。特定のメニューを必ずお出しすることを事前にお約束することは出来ませんので、あらかじめご了承ください。
要約すると予約時点では夕食時に必ずステーキをお出ししますとお約束することができません、ということです。
赤岳鉱泉の受付には当日の夕食と朝食の献立表を掲示しています。
一部のお客様が小屋に到着されて夕食の内容が分かると、当日の受付時に希望していた食事の内容ではないことを理由に予約していた夕食を当日にキャンセルする事例が発生しています。
お客様の立場で考えると、ステーキを楽しみに赤岳鉱泉まで登ってきたのにステーキが食べられなかったらとても残念ですし、とてもガッカリしてしまう気持ちはよく分かります。
しかしながら、赤岳鉱泉は山小屋です。
山小屋に食材を届けることは街で食材を調達すること以上に大変なことが多いですし、山では限られた環境や設備の中で様々な物資を普段の生活よりも貴重に取り扱わなければならない場所です。
市場で食材を仕入れて食材を山小屋に届ける過程で、街の宿泊業とは比べ物にならないほどの高額なコストと手間隙をかけた労力が掛かっています。
お客様に美味しい食事を提供したいという一心で赤岳鉱泉では、週2回の頻度で新鮮な食材の荷上げを堰堤広場から赤岳鉱泉 #北沢登山道 または行者小屋 #中山乗越 まで人が背負い上げる形式=歩荷で行っています。
夕食と朝食の予約を基準に、食材の発注と仕入れを行い、最後に山小屋へ荷上げを行うという一連のオペレーションです。
基本的な方針として、食物アレルギーや個々の好き嫌いについては可能な限りで対応させていただきます。また、どんな理由であれキャンセル料を請求することも行いません。
しかしながら、好みの食事では無かったという理由で当日にキャンセルされる行為については、想定外の食品ロスが発生して、準備していた食材を破棄しなくてはならない事態に繋がる可能性があり、とても迷惑です。
そして、一番には小屋番のみんなが歩荷で苦労して山小屋まで届けてくれた貴重な食材を無駄にしてしまうことに対して、強い悔しさと強い憤りを感じます。
たとえ夕食がステーキではなくてハンバーグになっても一切の手抜きはしないですよ!
夕食がステーキではないと残念に思いガッカリされる場面が多いことも事実なので、そんな時にこそステーキを上回る美味しさで満足していただける食事を目指して日々努力しています!
赤岳鉱泉の夕食に関してのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。